眼下の敵
第二次世界大戦下の南大西洋上。アメリカ軍の駆逐艦ヘインズ号は、ドイツ軍の潜水艦Uボート狩りを行なっていた。ヘインズ号の艦長・マレルは着任する少し前に、愛する新妻が戦争の犠牲になって死んでゆくのを目の当たりにし、艦に乗り込んでからというもの、ずっと自室に閉じこもったままだった。しかし、彼はドイツ軍を憎む気持ちにはどうしてもなれずにいた。一方、Uボートの艦長、フォン・ストルバーグは二人の息子を戦争で失い、無益な戦争を呪っていた。しかし、冷静沈着で勇敢な彼は、敵の暗号書を本国に持ち帰るという重要な任務を背負ってもいた。ある日、ヘインズ号のレーダーがUボートの姿を捉え、マレル艦長は部下の前に初めて姿を現す。そして、マレル艦長指揮するヘインズ号と、ストルバーグ艦長が統率するUボートの息詰まる攻防戦が始まる…。 第二次世界大戦下の南大西洋を舞台に、アメリカの駆逐艦とドイツの潜水艦の激しい攻防戦を通して海に生きる男たちを描いた人間ドラマ。知力と体力、そして精神力の限りを尽くして死闘を繰り広げる米独両艦長を名優、ロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンスが好演。どちらかの軍に偏向することなく、フェアに徹した描写が両優のキャラクターを際立たせている。終始ゲーム感覚をもたらすスリリングなシナリオは、最後まで一瞬たりとも目を離すことができない。第30回アカデミー賞特殊効果賞受賞。
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